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一宮の谷さん

㈱らくらくカウンセリングオフィス 2013/11/09
らくらくカウンセリングオフィスは、働く皆さんのためのカウンセリング会社です。
仕事上のことで困ったことがあったら、気軽にご相談ください。


当社役員の脇田です。

私の名前の「脇田」という姓は、全国的には比較的珍しい名前ですが、私の住んでいる一宮市では、たまによく見かけます。特に、我が家の先祖のお墓のある浅井町小関地区には多く、そのお墓のあるお寺には、「脇田」と「小関」の名前がズラッと並んでいます。名前というものは、地縁関係に由来するものであることがよく分かります。

もうひとつ、一宮に多い名前に「谷」という姓があります。一宮市長は「谷一夫」さんですし、お医者さんでも「谷医院」という名前はよく見かけます。私の父が入所している老人ホームにも、「谷さん」がいらっしゃいます。谷さんはかつて会計士でいらしたそうで、ホームでも欠かさずに計算帳と書取帳を膝の上に広げていらっしゃいます。高校の同級生にも「谷君」は数名いましたし、私の中学の時のガールフレンドも「谷さん」でした。

ここに、「谷徹」という人が書いた1冊の本があります。「意識の自然」という本で、この本を私は、今から15年ほど前に、偶然に手にしました。母の仕事の関係者に「谷さん」がいて、その人の息子さんが書いた本なので読んでほしいと言われて母が家に持ってきたのです。上下2段組みの700ページにも及ぶ本で、簡単に読める本ではありません。定価も1万円以上します。しかし内容は、フッサールという哲学者の解説書で、私の興味の範囲内だったため、改めて本書を買い求め、蔵書の1冊に加えました。

しかし仕事に追われる毎日でこの本をちゃんと読むことなく、長らく本棚に置いたまま、15年がたちました。最近、心理学から哲学へと私の関心が移り、久々に本書を開いたところ、思った以上に面白い内容であったことが分かりました。この本は単なるフッサール哲学の解説書ではなく、「フッセリアーナ」と呼ばれるドイツのフッサール全集を読み解いた先に谷徹さんがたどり着いたフッサール哲学の真髄を紹介した内容だったのです。

フッサールの解説書は多数でています。その多くは、一方で、専門用語にあふれた哲学書あったり、一方ではフッサールの分かりやす側面だけを紹介した入門書だったりします。しかしどの本も「帯に短しタスキに長し」で、読んでもフッサール哲学の全貌がよく分からないのが実情です。しかし谷徹さんの「意識の自然」だけは別です。フッサール哲学を知りたいならば、本書が最適であり、しかも本書だけで十分でもあると、私は思います。

本書の優れた点はいくつもありますが、特に読みごたえのあるのが、フッサール後期の哲学を紹介した後半部分です。フッサールの初期・中期の哲学を読み解いた本は数多くありますが、後期の思想の解説書はあまり出ていません。何故かというと、フッサール自身が後期思想については草稿しか残していないからです。しかし、フッサール自身が言うように、この草稿の中にこそ、彼の哲学の思索の歩みが記されています。谷さんは、その草稿を丹念にたどることによって、フッサール哲学の全体像を明らかにしたのです。

実はこの「意識の自然」は、長い間、品切れ状態でした。しかし最近、ようやく復刻され、大きな本屋に行くと並んでいます。2段組み700ページ、1万円の本ですが、もし「哲学」という世界に興味のある方ならば、ぜひ手に取ってみてください。どんな哲学書よりも分かりやすく、詳細で、しかも真摯にフッサール哲学が展開されているのが分かるでしょう。

中学時代のガールフレンドの「谷さん」は、今どうしているのだろう--髪を短く刈り込んでちょっとふっくらとした体型の谷さんを、「意識の自然」の中の「流れつつ立ち止まる現在の贈与」の章を読みながら、懐かしくそして今まさに鮮明に、私は思い出しました。その甘酸っぱい思い出とともに...
 

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