去る2007年11月19日、名古屋中ロータリークラブの例会において、
NPO法人コアカウンセリング支援協会
コアカウンセラー、コアインストラクターであるスタッフが
自らの体験を講演しました
メンタルヘルス講演Ⅲ
うつ回復者が体験を語る
「えっ!まさか、自分がうつ!」
~うつ経験から学んだこと~
私は幼少の頃から真面目で几帳面、責任感が強くて
頑固な優等生タイプで、
「うつの申し子」的な面がありました…
高校時代、自然気胸を患って死を間近に体験したことで病気で
苦しむ人々の力になる仕事をしたいと思うようになり、
日本福祉大学社会福祉学部へ進学。
高齢者複合施設を運営する某社会福祉法人へ就職した処、
学生時代からそこを手伝っていたことが認められ、事務・総務
部門の責任者である事務長として働き始めました。
しかし施設は大変な忙しさでした。
役所の連絡調整や利用者への対応、介護の仕事も手伝い、
本来の仕事ができるのは夜になってからという、
連日午前様、休日返上も当たり前という生活が
1年近く続いていたのですが、中間管理職として施設運営に
携わる中で、上司の不正を度々目にし、体調が悪くなってきました。
胃がむかむかして食事が食べられず、体重は40kg台まで
落ちました。ぐっすり眠れず、朝方になると必ず目が覚める。
憂鬱感・億劫感に苛まれ、仕事の優先順位が判断できずに
書類の山が築かれ、簡単な計算もできない状態に陥ったのです。
どうにかしなければと思い、心療内科を受診して睡眠剤の処方を
訴えた私に、医師は、
「あなたは仮面うつ病です。すぐ仕事を休んでください。」
仮面うつ病とは、うつが身体的な症状として現れる場合を
指すのですが、疲れるのはそういう職場だからという意識が強かった私は、
「私を精神病患者扱いしないで下さい」と言い合いになり、
処方された2週間分の薬も
精神科の薬だと思うと飲む気になれませんでした。
結局症状は酷くなるばかりで、医師から改めて最低1ヶ月の
休養を要する旨の診断書が出され、自宅療養の運びとなった訳です。
うつ病の症状ですが、身体面では疲労が抜けず、食欲や性欲が
減退します。首や肩が鉄板を入れたように重く、便秘や下痢が続きます。
そして、不眠。朝方3時か4時には目が覚め、布団の中で苦しむ毎日は
本当に辛いです。精神面では憂鬱感が強く、落ち込みが激しいのですが、
1日の中でもかなり落差があります。行動面では、仕事は勿論、好きなこと
でもやる気が起きない。
周囲にこれらが当てはまる方がいれば、
是非受診を勧めて下さい。
さて、診断書が出て療養生活に入った私ですが、家にいても
全然休まりませんでした。
このままでは自分の人生がダメになる、
社会から取り残されるという思いが渦巻き、
主治医からは入院を勧められました。
そこで直面したのは、見舞いに来た上司や友達の
うつ病に対する見方で、
「ただの怠け者だ」という言葉に
もの凄い偏見を感じました。
しかし今にしてみれば、その時、
うつ病=社会の落ちこぼれという烙印を
一番捺していたのは自分だったのです。
病気と薬に対する偏見をなくし、きちんと薬を飲み、
休養する中で少しずつ症状が回復し、カウンセリングを
受ける中で元気を取り戻していきました。
カウンセリングでは、カウンセラーの方に色々と自分の本当の気持ちを
話していくのですが、一番気づかされたのが人間関係の過ちでした。
自分の思いを言葉として伝えることなく、相手の心を
察して、その期待に沿うような形でしか人間関係を
築けていなかったこと
を知り、自分を見つめ直す中で、自分の良い部分・悪い部分を
全て認められる自己肯定感を生み出すことができました。
私の経験上、皆様にお願いしたいことが2つあります。
1つは、非難しないこと。
もう1つは、一生懸命、その人の話を聴いてあげることです。
この2つさえ気をつければ、
あとは人に備わる成長力によって必ず快方に向かいます。
私は自らの経験を生かして、現在辛い気持ちでいる方々の光と
なれるよう活動していきたいと考えています。
(名古屋中ロータリークラブ Weekly Report より) |