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J.J.ギブソンの3部作

㈱らくらくカウンセリングオフィス 2011/05/28
らくらくカウンセリングオフィスはキャリアアップを模索する方々を支援するEAPです。


当社役員の脇田です。今日の話題は次の2点です。

1:J.J.ギブソンの時代が来た

認知心理学の分野で特異な存在として知られるギブソンの代表作2作が、相次いで翻訳され、これでギブソンの全貌がようやく明らかになりました。ここ2~3ヶ月の間に、1作目の「視覚ワールドの知覚」と、2作目で代表作でもある「生態学的知覚システム」が相次いで訳出されています。「アフォーダンス」理論で知られるギブソンの代表作で、以前から、それはすごい内容の本だとの紹介がなされてはいました。「生態学的知覚システム」は、80年代に訳出された3作目の「生態学的視覚論」のベースとなった研究書で、今読んでみても、新鮮な視点に目を瞠らされる「すごい」本です。

認知心理学は、19世紀末の「心理学黎明期」に「ゲシュタルト心理学」として産声を上げ、その後、臨床心理学や行動主義心理学の勃興によって一時廃れますが、20世紀末になってコンピュータやロボット工学の進展とともに「人間の認知システムに見習え」の掛け声とともに再評価を受けた分野です。それまでの「認知心理学不遇時代」とも言える1950~70年代にひとりコツコツと研究を続け、いくつものユニークな実験を重ねて論文を発表したのがギブソンです。21世紀になってようやくギブソンの真価が見直されるというのは何とも奇妙ですが、まるで砂漠から掘り出されたミイラが生き生きとしたつやを保っていたかのように新鮮に読み直されるのは、別の意味でも「すごい」ことでしょう。

ギブソンの理論はまた別の機会に紹介しますが、とりあえずここでは、「アフォーダンス」の考え方が、主体と客体との分離ができないような次元で想定されていることを指摘しておきましょう。主体が動くからこそそこに客体が存在する契機が発生し、そこで初めて認知が成立する--この考え方は、当たり前のようでいて、しかし科学理論としては画期的な思想を含んでいます。主体を考慮に入れなければ客体を記述できない理論--それはちょうど、素粒子物理学が「ハイゼンベルクの不確定性原理」を相補的に必要としている事情に似ています。そしてその事情は、臨床心理学における「転移と逆転移」の考え方や、家族療法における「開放システム」の考え方とも通じます。

いずれにせよ、ギブソンの再評価は、認知心理学のやや行き詰まった感のある「閉塞的状況」に新たな視点を導入する契機になるでしょう。また、行動心理学や分析派の心理学にも大きな影響を与えるだろうと、私は思います。

2:能動的創造法(アクティブイマジネーション)の可能性

ユングの「元型論」を理解すると初めて、アクティブイマジネーション(AI)の意義が見えてきます。元型を単なる「夢の象徴」としてだけ理解している限りでは見えてこなかった世界が、そこには開けてきます。私も実はAIには懐疑的だった一人ですが、元型の本当の意味がわかってくると、「元型的象徴が出現するのは夢の中だけではない」ということがしっかりと理解されてきます。
AIについては、ユングの解説書は全くありません。弟子たちの理論書を読むしかアプローチの方法はありませんが、しかし今後、夢分析に代わる新しい方法としてAIの可能性が追求されるようになると思われます。
アクティブイマジネーションとは何か、ということはまた別の機会に譲りましょう。とにかく、その将来性と秘められた大きな可能性だけは、ここにしっかりと宣言しておきたいと思います。

ではまた。

 

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